書評 「廃墟の上でダンス」

柳澤 千恵子
( チェチェンの子どもを支援する会 ボランティアスタッフ

作者ミラーナ・テルローヴァさんが14歳の少女の時に、第一次チェチェン戦争が始まりました。

 ある日、14歳の少女たちが、校庭で、近く行われるダンスパーティへ着ていくドレスの相談をしていると、先生に「戦争が始まるから、早く帰りなさい」と言われます。
 それから泥沼のチェチェン戦争が彼女たちの人生を支配します。
 第一次チェチェン戦争が終わり、作者が避難先から家に帰ってみると村は廃墟。それでも自宅を一生懸命に片付けていると、ロシア軍によって、破かれてトイレの紙の代用として使われていたピンクのドレス―14歳の頃ダンスパーティに着ていくはずだったドレス―を見つけてしまいます。
 この本は、作者自身に起きたこと、作者の周りの家族、親戚、近所、友人に起きたことを、実際にその場にいた作者によって書かれています。何人もの友人や、いとこが「選別収容所」へ入れられました。
  「選別収容所」はテロリストを選別する名目で設置されていましたが、そこは単なる地獄。テロリストとは全く関係のない若者をテロリストと「みなして」収容し、拷問していました。そこから救い出すめに、家族は多額の賄賂を払います。たとえ死んでしまっていても、イスラムの人達にとって遺体はとっても大切なもの。なんとかして遺体を引き取りたいと、家族はお金を集めます。「選別収容所」の真の目的は「お金」だったようです。
 こんな人質ビジネスが横行していても、ロシア政府は見てみぬふりです。
 この本のひとつひとつのエピソードに驚き、唖然とします。
 これは決して葬ってはならない事実です。チェチェンの人々の苦しみを知り、ロシア政府の暴挙に声を上げなければならないと感じます。

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