チェチェンをよりよく知るための本

「誓い」
ハッサン・バイエフ著 天野隆司訳

献辞

 わたしは本書をつぎの方々に捧げる。
 わたしの父と母に。ふたりは1937年の不況、1944年の強制移住、第二次世界大戦、そしてこの二度にわたるチェチェン戦争を生き抜いた。
 わたしの甥であり、ジャーナリストであったアダム・テプスカエフに。彼は戦争がもたらす残虐性を世に明らかにする努力の中で、冷酷な何者かに殺害された。
 苦境にある人たちを救うために命を落とした医師たちに。とくにイブラギム・タラモフ、アスランベク・シダエフ、アマジ・イスマイロフ、イスライル・ウカエフ、ムサ・タズルカエフ、ラシッド・ダダーエフ、 サイド・ウマロフ、サツシタ・ガイラベコヴァ、スルタン・イブラギモフ、ルスラン・バイムルザエフ、マイルベク・トフスルタノフ、レーチャ・ザガラエフ、アルベルト・ダカエフ、ロム=アリ・ラスエフ、ナスルジン・エクポフ、アナトリー・ズドール、アルビ・エデルギリーエフ、そしてロリータ・アイドミロヴァに。
 医師たちとともに命を失った看護婦たちーーマリーナ・ハミトヴァ、ナタリア・ロファルーエヴァ、エニサ・アシーエヴァ、リナ・アブバカロヴァ、トイタ・クタエヴァ、マディナ・ダダエヴァ、そしてショフダ・ザガラエヴァに。
 1996年、ノーヴィエ・アタギ村にて何者かによって殺害された国際赤十字委員会の職員たちに。
【編集者からのメッセージ】
 「よくぞ生き延びて、この本を書いてくれた。」あがってきた訳を読みながら、私は、そうバイエフに語りかけていたのを憶えている。この本は、どこを切っても、バイエフの血が流れている。
 驚くほどのまっすぐさと、自らの命を危うくしてしまうほどの優しさ。そういえば、背筋の伸びた明治の日本人は、こんなではなかったろうか。どうしてと問われても困るのだが、彼が柔道の達人であり、嘉納治五郎を尊敬しているというのもよくわかる。
 この本を読むとき、私たちはバイエフの目を通して、チェチェンの美しい村々を、地獄のような戦場を、そして戦いの中で醜くもあり、気高くもある人々を見るだろう。彼の目は万能ではないが、一点の曇りもない。そのことは、私が保証する。(西田/アスペクト編集員)
 

目次

 序説 チェチェンについて
  プロローグ
第一部 平和な時代
第二部 第一次チェチェン戦争
第三部 束の間の平和
第四部 第二次チェチェン戦争
第五部 米国への亡命
 エピローグ
 追記 彼らはいまどこに

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